スマトラ復興7周年

インドネシアのスマトラ島沖で2004年12月26日、マグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。これに伴う大規模な津波がインドネシア、スリランカなどインド洋沿岸諸国に押し寄せ大きな被害をもたらしました。世界14カ国で、死者・行方不明者約22万人、被災者約200万人、被害総額は68億ドルにも上りました。

今年はこのスマトラ島沖地震から7年目にあたり、被災地では復興を示す変化が見え始めています。

救援から復興まで

日本赤十字社(以下、日赤)はスマトラ復興支援の基本方針として、以下を目標に掲げ復興支援を実施してきました。

  1. 被災者のいのちと健康を守り、将来の災害への備えを進める
  2. 救援から復興までを切れ目のない一連のプロセスとして捉え、災害による直接的な被害の回復だけでなく、被災地が以前から抱える課題にもあわせて取り組む

これまでにインドネシア(15事業)とスリランカ(21事業)で36事業、約105億9300万円の資金援助を実施し、今なお、スリランカで2事業が実施されています。

変化が見えてきた被災地

将来の災害に備える(インドネシア)

チャロック村のマングローブ

チャロック村のマングローブ

津波の被害が甚大だったインドネシア・アチェ州北東部。

地域社会の災害対策能力の向上を目的として2007年12月~2009年12月まで、4県の1特別市9村を対象に高潮・高波の軽減効果を持つマングローブを植林するとともに、地域防災ボランティアを中心に潜在する災害リスクの調査やハザードマップの作成、避難訓練などを行いました。

事業地の一つであったビルン県のチャロック村では、事業終了後もすくすくとマングローブが成長しており、その根元にはエビや魚が泳いでいます。

地域防災ボランティアのユスフさんによれば、事業終了後は、ボランティアとして活動する機会も少なくなったとのことですが、何か災害が起こった場合は、インドネシア赤十字社(以下、インドネシア赤)のビルン県支部と連絡を取って対応するなど、事業を通じて形成された人びとのきずなは今も強く結ばれています。

住まいと暮らしの再建(スリランカ)

再建中の住宅の前で笑顔を見せる受益者

再建中の住宅の前で笑顔を見せる受益者

スリランカ北部に住む人びとは、このスマトラ島沖の津波により大きな被害を受けましたが、スリランカ国内の紛争の影響で、国際社会から十分な支援を受けることができませんでした。

その後、紛争の激化とともに避難民が発生し、過酷な環境下での生活を余儀なくされていました。

2009年に紛争は終結しましたが、北部では避難民の生活再建が大きな課題として残りました。

そこで日赤は、2010年から津波と紛争の両方の被害を受けた240世帯を対象に、受益者主導型の住宅再建と生活再建を支援してきました。

受益者主導型の住宅再建には、住む人たちが、一定の基準を守りながら、自分たちの住みやすいように家を建てられる、という利点があります。2011年12月現在で、すでに半数以上が屋根まで完成しています。

しかし、レンガ職人がなかなか見つからない、建設資材が値上がりしている、雨期に入ってしまったなどの理由により、建設が思うようにはかどらないこともあります。また、受益者の中には、野生の象に建設中の家に入られてしまった人もいます。

生計支援資金で購入した家畜(スリランカの牛は元々やせている品種です)

生計支援資金で購入した家畜(スリランカの牛は元々やせている品種です)

また、避難民への支援は家の建設だけでなく、自分たちの力で暮らしを建て直せるよう資金も提供しています。

これにより、牛やニワトリを購入したり、畑に水を引くための水揚げポンプやミシンを購入した避難民もいます。

牛を2頭飼っている避難民は「毎日、ボトル一本くらいの牛乳が取れます。これを売って収入にする予定でしたが、今はまだ3人の子どもが飲んでいます。収入はないけれど、今までは牛乳を買うこともできなかったので、子どもたちの栄養のためには助かっています」と語っています。

このほかにも、各家に水のフィルターや井戸、トイレを掘る支援など衛生管理にも取り組んでいます。

地域の能力強化(スリランカ)

約8割が完成しているトリンコマレー県支部社屋

約8割が完成しているトリンコマレー県支部社屋

スリランカ・トリンコマレー県は津波による被害が最も大きかった地域の一つで、トリンコマレー県だけで約1000人が死亡し、約8万人が避難民となりました。

スリランカ赤十字社は国際赤十字と日赤の支援を受けて、同社トリンコマレー県支部社屋を建設しています。

支部の建物を建設することにより支部の機能を強化し、津波被災者への支援を行うボランティアなど人材の育成、今後の災害救護活動、また保健衛生活動など地域に根ざした長期的な支部の活動が期待されています。

最後に

人びとは2004年のスマトラ島沖地震・津波災害を生活を再建しつつあります。

インドネシア・バンダアチェの現地スタッフは「津波は人びとに自然の破壊力について知らしめ、災害のリスク、犠牲者を最小限にする教訓を与えました。日赤の支援は住宅、医療、生計支援など人びとが直面していたニーズに対応し、将来に向けてチャレンジするきっかけを与えてくれました」と言います。

スリランカ・トリンコマレーの住宅支援事業の受益者は「日赤のおかげで、われわれの今があります。生活は津波発生前よりも改善しています。こんなに年月が経っても日赤はわれわれのことを忘れないで支援してくれて感謝しています」と語るなど、支援は地元の人びとに届いています。

日赤によるスマトラ復興支援は2012年3月末ですべての事業を終了する予定ですが、今後も世界で苦しんでいる人を救い、一人でも多くの命を守るよう、赤十字の支援活動を展開していきます。