ハイチ大地震復興支援:健康ボランティアの活動現場から報告

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健康講座への参加を村人に呼びかけるボランティア

「おーい。今から健康講座をやるからみんな集まってくれー」

広場でボランティアの青年が呼びかけると、村人たちが三々五々集まってきます。

「前回のHIV/エイズの話は参考になったよ。今日は何の話題?」と参加者の関心は上々。ボランティアの青年はイラスト入りパネルを掲げ、安全な出産について語り始めました。

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2010年1月の大地震で首都ポルトープランスを中心に壊滅的被害を受けたハイチ。

医療チームによる支援を終えた日本赤十字社は、現在復興に向けて、被災地の一つレオガン市において国際赤十字・赤新月連盟(以下、連盟)やハイチ赤十字社と連携した事業を展開。

地域住民の中に病気予防や保健衛生の力を育て、コミュニティーの健康改善、ひいてはコミュニティーの復興を目指す事業を行っています。

活動地の一部地域では、研修を終えたボランティアが村での講習会などを開始しています。

2011年2月から現地へ派遣され、9月に帰国した浦上友美看護師(熊本赤十字病院)は「家庭訪問をしたボランティアが、栄養不良の乳児を救った事例も報告されています」と顔をほころばせます。

地域にまん延する間違った健康常識への対応~カギを握るボランティア

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ボランティアを対象にした研修では、住民への上手な伝え方についても学びます

世界最貧国の一つで、震災前から医療や保健衛生のインフラ整備が遅れていたハイチでは、健康や病気に関する間違った常識や慣習が少なくありません。

「出産直後の乳児にはミルクを与えてはいけないとか、母乳を毛嫌いして粉ミルクに頼る習慣とか、女性と子どもの健康にかかわる間違いが特に目立ちます」

HIVの感染も深刻な状況で、対策が急務となっています。事業では、このような健康や保健に関する問題点を住民自身に認識してもらい、解決に向けた取り組みを赤十字と一緒に考え、進めていこうというもの。そのカギを握るのが正しい健康知識を持ったボランティアです。

500人のボランティアを育てたい

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コミュニティーマップを作り、自分たちの地域について話し合うボランティアたち

ボランティアを募る村民集会。連盟のハイチ人スタッフが「赤十字は、私たちが抱える健康問題を、ボランティアの力で解決していこうと思います」と訴えると、住民から必ず出される意見があります。

「なぜ病院を建ててくれないの?」

この質問に対するハイチ人スタッフの答えは「外国からの支援はいずれなくなります。その時、誰が医者や看護師の給与を払うのですか?」。

いま病院を建てても後に残るのは建物だけですが、ボランティアを育てれば、健康に関する知識は受け継がれ、村人のいのちと健康を守れることを強調します。

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多くの参加者が集まり、蚊帳の使い方を学ぶ講習会

このような取り組みへの共感が広がり、村々から選出されたボランティアは140人に。

新生児ケアや安全な出産、予防接種、HIV/エイズなど一定の研修を終えた55人は地域での活動を始めています。

浦上看護師は「ボランティアによる健康講座や家庭訪問は、住民の評判も高い。ボランティアのモチベーションも上がっています。来年10月までにはレオガン市全体で500人のボランティアを育てる計画です」と事業の手応えを語っています。