フィリピン保健医療支援事業:オーロラ州ディラサグ郡にも事業拡大

日本赤十字社はフィリピン赤十字社(以下、フィリピン赤)と協力し、2006年よりフィリピン共和国キリノ州で保健医療支援事業を実施しています。

この事業では同郡内の各村に地域保健ボランティアを育成し、住民への病気予防に関する知識の普及や、安全な水を得るための給水設備と衛生環境を整えるためのトイレの設置などを行います。

この取り組みによる成果が認められたことから、フィリピン赤は他の地域にも事業を広げていくことを決定。

保健衛生状況改善のニーズが高いオーロラ州ディラサグ郡を事業地とし、2011年4月から3カ年の事業を始めています。

医療、災害対応がぜい弱なオーロラ州ディラサグ郡

台風の影響により全壊した住居

オーロラ州ディラサグ郡は、透き通った美しいフィリピン海と深く険しい山々に挟まれた場所です。

ディラサグ郡は州都のバレーからもっとも遠いため、州による保健医療サービスが十分に行き届かず、保健衛生状況が悪い地域。清潔な水を得る手段は数少ないポンプ式井戸のみです。

トイレがない世帯もあり、医療施設の数も不十分な状況です。郡診療所には医師が一人常駐していますが、医療器具や薬が限られていることから、簡単な診療しか行われていません。

また舗装されていない道路も多く、川に橋がかかっていない個所もあることから、移動は容易ではなく、診療所へ行くのは簡単ではありません。

同郡は毎年いくつもの台風が通過する位置にあり、今年は9月末から10月に相次いだ台風によって甚大な被害を受けました。同郡では住民の9割が被災し、全壊家屋が81棟、一部損壊家屋が1,132棟に及ぶ被害となりました。台風などの自然災害が発生すると周辺地域から孤立し、外部からの支援を受けることが難しくなることも度々あります。

今回、隣接する郡への道路は土砂崩れと橋の冠水により台風通過後の5日間は通行が不可能になり、重要な通信手段である携帯電話も不通になりました。この被害状況に対し、フィリピン赤は食料の配付と水タンク、毛布などの生活支援物資の支給を行っています。

健康に暮らすために…

事業説明会にて住民の質問に答える平田駐在員

保健医療サービスを受けることが困難な状況下にある同郡では、健康に暮らすために住民自身がまず病気に関する知識とその予防方法、そして病気になったときの対応方法を知ることが必要です。

このため住民一人ひとりが健康や衛生について関心を持ち、健康になろうと行動することが重要です。

地域住民に対する事業説明会の様子

地域住民に対する事業説明会の様子

住民にこのような行動を働きかける役割を担うのは、この事業で育成する地域保健ボランティアです。

住民の中から選ばれた彼らが行政の保健医療サービスと地域住民との架け橋となることで、地域全体の保健医療状況の改善を目指します。

今回、事業を開始するにあたり、住民に対する事業説明会を各村で行いました。これまで赤十字の保健医療活動が行われてこなかったこの地域で、今後実施する活動内容について説明することは、赤十字に対する住民の理解を得ることにつながります。

各村では早朝から住民たちが集まり、真剣に耳を傾け、この事業に期待を寄せました。

現在、今後の活動計画を策定するため状況調査を行っており、その結果をボランティアの育成数や実施するトレーニングに反映させていくことになります。

5年、10年先を見据えて

今後実施する取り組みが住民たちの生活に定着し、活動が終了した後の5年、10年先になっても住民たちが健康で衛生的な生活環境を維持して暮0らしていけるよう、赤十字は支援していきます。