ミャンマーサイクロン復興支援事業が終了:支援を振り返って

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新校舎で勉強する生徒 ©Masako Imaoka/MRCS/JRCS

2008年5月2日の夜から3日の早朝にかけてミャンマーのエヤワディ地域・ヤンゴン地域を直撃したサイクロン・ナルギス。

死者8万4500人、行方不明者5万3800人、被災者約240万人と同国史上最悪の被害をもたらしました。

国際赤十字の支援のもとミャンマー赤十字社(以下、ミャンマー赤)は、13県・地区の10万人の被災者を対象に住宅再建や生計再建、災害対応、保健衛生などの分野で支援を進めてきましたが、今年の7月に終了しました。

日本赤十字社(以下、日赤)は皆さまからお寄せいただいた救援金14億2,900万円をもとに支援を行いました。

日赤が支援した60校

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チェイ・チャウン・ジ学校の新校舎 ©MRCS

日赤では2009年4月から、ミャンマー赤との二国間事業で60の学校の再建を支援してきました。

雨季に道路が頻繁に寸断されるなど、数度にわたり工期の変更が生じましたが、2011年3月に晴れて全60校の鉄筋コンクリート製防災強化型校舎の建設が完了しました。

建設にあたっては、現地の被災状況も配慮しました。例えば日赤支援校の通常の床高は1.5メートルですが、ボガレー地区のチェイ・チャウン・ジ学校の床高は2.5メートル。

ボガレー村では2.5メートルの高潮が押し寄せ(日赤が再建を支援した他の村は0.3~1.5メートルの高潮被害)、仏塔以外すべての建物が倒壊し、全民家が流されました。村民4000人中、生存者は700人と最も被害の大きかった村の一つです。

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鞄を背中に登下校する子どもたち ©MRCS

完成した校舎では子どもたちが元気に学ぶ姿が見られました。この校舎は、災害時には地域住民の避難場所にもなります。

ミャンマー赤の担当者のトン・ネイ・アウンさんの報告によれば、4月までに各学校で先生や村の人が中心となった委員会が発足し、普段から修理・修繕の活動を行いながら大切に学校が使われているとのことです。

日赤は学校の机や椅子、さらに鞄、文房具や学習ゲームなどの学用品も併せて提供し、教育の再開を包括的に支援しました。

新しい鞄を背中に元気よく登下校する子どもたちの姿に、村の人や赤十字のスタッフからも思わず笑顔がこぼれます。

国際赤十字を通じた各分野での支援

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肥料を水田にまく農民 ©MRCS

ミャンマー赤との二国間事業のほかにも、国際赤十字を通じて生計再建、災害対応、保健衛生、住宅再建の分野で以下のような支援を行ってきました。

生計再建事業

強風や高潮で被害を受けた生業の回復を目指す生計再建では、Cash for work(被災者自身が働き、その対価を支援する)による水田の整備や、肥料配布で1万9353人を支援しました。

穀倉地帯であるミャンマーで主要産業である農業の再開を後押しし、被害のあった地域でも農民が一面に広がる青々とした水田で作業をする光景が見られるようになりました。

住宅再建事業

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再建された個人用住宅と受益者 ©MRCS

サイクロンで住まいを失った11県・地区の1万6376世帯に対しては、個人住宅の再建を支援。

「家族全員が一緒に安心して暮らせるのが一番の喜び」と安堵の声が寄せられます。

そのほか20の保健センター、100の赤十字ポストと呼ばれる集会所、寺院、橋脚、図書館といった公共設備の再建も行い、コミュニティー活動の再開に寄与しました。

学校再建、住宅再建のいずれの事業でも、今後に備え、建設に携わる大工に対して災害のリスクを減らしていけるような技術移転を併せて行いました。

保健衛生事業

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講習会で手洗いを実践する子どもたち ©Masako Imaoka/MRCS/JRCS

基礎保健衛生分野では38万105人に対して支援を行い、そのうち1万6874人の学校の子どもたちに対して赤十字ボランティアによる衛生講習会が行われました。

手洗いや歯磨きに関する講習会では、トレーニングを受けたボランティアによって歌や実践を交えた指導が展開されました。

皆さまからの救援金の使途

日赤には、個人や企業の皆さまより14億2,900万円の救援金がミャンマーの被災者のために寄せられました。その使い道は下記のとおり緊急救援や復興支援など多岐にわたり、現地の人たちが元の生活を取り戻す大きな一歩となりました。

緊急救援
救援物資、輸送費他: 4億5,000万円
職員の派遣等: 3,990万円
復興支援
生計再建: 1億5,450万円
保健・衛生: 8,350万円
住宅再建: 1億9,500万円
災害対応能力の強化: 7,260万円
学校再建: 3億5,550万円
職員の派遣等: 2,500万円
事業管理費等: 5,300万円
計 14億2,900万円

今後のミャンマー支援

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手洗い講習会で指導するボランティア ©Masako Imaoka/MRCS/JRCS

日本の報道ではあまり大きく扱われないミャンマーの災害ですが、昨年10月にはサイクロン・ギリが西部のアラカン州を直撃し、今年の3月には63人の犠牲を出す地震がシャン州で発生しました。

いずれの災害でも、ミャンマー赤がサイクロン・ナルギスでの教訓から備蓄を徹底した支部の倉庫より救援物資の配布を行いました。

ミャンマー赤の災害対応能力の一層の向上のため、国際赤十字によるサポートは今後も行われます。