中国豪雨災害:旧正月前に日赤の支援物資が被災者へ

中国は昨年、記録的な豪雨による大規模な洪水や土石流が各地で発生し、死者、行方不明者約4,000人、総被災者約2億3,000万人という大きな被害をもたらしました。

なかでも、一瞬にして約1,400人の犠牲者を出した8月の甘粛省の土石流災害は甚大で、日本赤十字社(以下、日赤)は国際赤十字を通じて、1000万円相当の救援物資を直ちに被災者に届けました。

今年に入ってからは、中国で最も大切な祝日とされる旧正月を前に、昨年8月に被害が集中した四川省、陝西省、雲南省の被災者約2万3800世帯に対して、布団や防寒服、米などの防寒・生活支援物資(合計7500万円相当)を届けました。

四川省と陝西省は3年前の大地震からの復興の最中に再び水害に襲われ、被災者の暮らしは容易ではありません。また雲南省でも水害で家を失い、いまだに多くの方がテントで暮らしています。

1月下旬に雲南省と四川省で行われた支援物資配布の様子を、駐在員の位坂がお届けします。

辺境の地を襲った土石流

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土石流で運ばれてきた巨石 雲南省怒江リス族自治州貢山独龍族・ヌー族自治県

雲南省は中国南西部の高原地帯に位置し、少数民族が多く住む地域です。平たんな土地が少なく、経済的にも豊かとは言えず、国内で最も多くの貧困県を抱えています。

怒江リス族自治州貢山独龍族・ヌー族自治県もその一つ、ミャンマーとチベットに接する辺境地区です。

ここは昨年8月18日、大規模な土石流に襲われ、32人が死亡、60人が行方不明者となりました。

また多くの家屋が土石流の下に埋没、命からがら逃げ出した人たちも家財一切や耕作地を失い、政府などの支援に頼る生活が続いています。

日赤は中国紅十字会(中国の赤十字社)と協議の上、被災した1000世帯余りに救援物資を贈ることとし、1月25日に同村で配布式が行われました。日赤本社からも職員を派遣、事業の実施状況を確認しました。

テント暮しから新生活へ

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救援物資を受け取った余志光さん(左端)一家と日赤職員

同村で細々と農業で生計を立てていた余志光さん一家は、救援物資を受け取った世帯の一つです。

土石流が発生したのは8月18日の午前1時過ぎ。寝静まっていた村に遠くから地鳴りが響きました。

余さんはその瞬間、横にいた奥さんと娘さんをたたき起こし、一目散に外へと飛び出ました。

後ろを振り返ると既に家は土石流に飲み込まれ、跡形もなかったそうで「自分の家は土石流の端のほうだったから逃げ出せたが、もし真ん中だったら家族全員命がなかったと思います」とのこと。

一家は被災から5カ月間、急傾斜地に設営されたテントでの生活を余儀なくされました。被災当初はあまりの出来事にぼう然自失の日々が続いたそうです。しかし政府などの支援で住宅が再建され、今年1月下旬にはほぼ完成、復興への道のりを歩み始めています。

それでも耕作地を全て失ったため、生活再建はこれから。余さんは「こんな山奥まで日本の人が救援物資を届けに来てくれるなんて、信じられません。本当にありがとうございます」と喜び半分、驚き半分の様子でした。「このように外国の方にまで励まされれば、被災者も頑張ろうという気になります」と地元政府の副州長さん。

日赤の雲南省への救援物資は、貢山県以外にも4つの水害被災地へ届けられました。

震災・水害 数々の困難を支え続ける日本の友情

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「シェーシェー(謝々)」と笑顔で手を合わせる方々

2008年5月の大地震で、1万人を超える犠牲者を出した四川省綿陽市北川チャン族自治県。

もともと洪水が多かった同県は、震災による土砂の流失や森林破壊で地盤がもろくなり、震災後も毎年洪水が発生しています。

日赤はこのような地震被害に加えて、昨年の豪雨災害でさらに打撃を受けた四川省や陝西省南部の「二重被災地」にも、防寒・生活支援物資を届けました。

綿陽市北川県で1月20日に行われた配布式でお年寄りたちは、手を合わせて口々にお礼を言い、救援物資を受け取りました。

日赤が綿陽市北川県内で救援物資を配るのは、地震の際の支援と加えてこれが3度目。北川県紅十字会の王会長は、「北川県民は誰もが震災で家族や親せきを失っており、水害被害はそれに追い打ちをかける厳しい事態。でもこうして震災から2年半以上経った今も引き続き北川県を支援してくれるのは本当にうれしい。日本の皆さんの友情と心からの支援を感じます」と述べていました。