「ボランティア国際年10周年」に向けて(その4)

赤十字の「ボランティア国際年10周年」キャンペーンポスター

赤十字の「ボランティア国際年10周年」キャンペーンポスター

赤十字の活動は、全世界9,700万人*にのぼるボランティアに支えられています。世界186の国と地域で活動するボランティアは赤十字の大きな力です。

今年2011年は、「ボランティア国際年10周年」。赤十字では「FIND THE VOLUNTEER INSIDE YOU」のスローガンのもと、ボランティア活動を推進しています。あなたの中のボランティア、見つけてみませんか?

ファトゥマさん

ファトゥマさん

■ ケニアで子どもたちの命を救うために活動するファトゥマさん

ファトゥマ・アブディさんは、28歳のお母さん地域保健師。8年前から、医療スタッフや資材が十分に揃っていないセリチョー村の診療所を無償で手伝っています。2008年に、日本赤十字社の支援により地域保健強化事業(通称「愛ホップ」)が始まると、責任感の強いファトゥマさんは、「きちんとした知識と技術を習得して、地域の子どもや女性を助けたい」という思いから、ケニア赤十字社「愛ホップ」のボランティアになりました。現在まで、ケニア赤十字社と保健省の連携による5つの医療、保健、衛生に関するトレーニングを受け、知識と技術の向上に努めています。

この地域では、出産時の合併症や多量出血により、多くの妊婦さんとその赤ちゃんの命が奪われています。その背景には、病院へのアクセスが困難であったり、医療知識の不十分な「産婆さん」の介助の元で自宅出産したり、陣痛がきてもギリギリまで誰にも言わず準備をしないということがあるからです。実は、ファトゥマさんも今年の初めに自身の赤ちゃんを亡くしたお母さんの一人です。

ボランティアによりロバ、政府関係者の車、救急車とバトンリレーで病院へ運ばれ、救われた小さな命

ボランティアによりロバ、政府関係者の車、救急車とバトンリレーで病院へ運ばれ、救われた小さな命

ファトゥマさんたちボランティアが、子どもや妊婦さんの健康を維持し向上するために日々活動を続けてきたことで、地域の人の知識が向上し意識の変化が見えてきました。「私たちの慣習上、以前は病院で出産する人はほんの1割に過ぎませんでした。しかし今では、8割のお母さんが病院での出産を望んでいます」とファトゥマさんは語ります。その一方で、救急車など搬送手段がないために診療所に来る事ができず、適切な処置が受けられないケースも多く、今後の課題となっています。

デンゲさん

デンゲさん

■ トレーニングで得た知識と技術でコミュニティに貢献するデンゲさん

ダバソ・デンゲ・エレマさん(48歳)は、ムチョロ村で小さな畑を管理しながら、地域保健師になって5年。ケニア赤十字社の活動に共感し、村の人々の健康な生活を支援するため、ケニア赤十字社のボランティアになりました。やる気とエネルギーは人一倍で、精力的に他のボランティアたちをリードして活動に参加しています。

ムチョロ村の診療所は、建物はあっても医療スタッフがほとんどおらず、地域保健師が大きな役割を担っています。デンゲさんがケニア赤十字社「愛ホップ」のボランティアになってからは、継続的なトレーニングを受け、健康だけでなく衛生の取り組みにも関わるようになりました。「トレーニングによって自分の能力が上がり村の人をきちんと助ける事が出来るようになった。トレーニングで得た知識や技術は私にとって宝物です」と、デンゲさんは語ります。

診療所で蚊帳とマラリア治療薬を受け取る赤ちゃんとお母さん

診療所で蚊帳とマラリア治療薬を受け取る赤ちゃんとお母さん

また、この地域では、未だに下痢症、マラリア、肺炎、はしかなどで命を落とす子どもの数が減りません。「今年は、ムチョロ村の177軒の家族に蚊帳を配り、家屋へ薬剤を散布してマラリア感染症を予防した。また、村の人と一緒に清掃活動を行って村がきれいになった。村の人のためになるボランティア活動が大好き」と、デンゲさんは話してくれました。

コレラ発生時に住民を対象に感染予防方法を教えるデンゲさん

コレラ発生時に住民を対象に感染予防方法を教えるデンゲさん

2009年には、ムチョロ村周辺で、干ばつの影響からコレラが流行しました。この時、一番活躍したのがデンゲさんたちムチョロ村の「愛ホップ」ボランティアです。電気もなく医療スタッフのいなかった診療所が、保健省の指導のもと、コレラ患者を隔離し管理する場所となりました。日夜、懐中電灯を使いながら、増え続ける一方の患者の対応に明け暮れました。保健省から看護師が来るまで彼らの献身的な活動は続き、彼らの活躍は世界保健機構(WHO)や保健省から高く評価されました。デンゲさんは「ボランティアをしてきた中で一番嬉しかった事は、自分の知識や技術により、コレラで亡くなる人の数を少しでも減らせたこと」と、自信と誇りに満ち溢れています。

ケニア・五十嵐真希駐在員

* 出典:World Disasters Report 2010 (国際赤十字・赤新月社連盟)