紛争下の南スーダンでの葛藤 私を支える大きな存在

ICRC 南スーダン紛争犠牲者救援事業 朝倉 裕貴

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カメラ撮影に少し緊張ぎみの子どもたちと

南スーダンは2011年の分離独立後も紛争が続いており、戦闘により傷を負う者、住む場所を追われる者など多くの犠牲者が存在します。赤十字国際委員会(ICRC)医療チームの看護師として、私は銃創患者の手術を介助しています。セスナやヘリコプターで国内を飛び回り、手術が必要だが物理的・経済的理由で病院に行けない患者を迎えにいく「フライトナース」の役割も担っています。
 

7月8日金曜日、南スーダン共和国5回目の独立記念日の前日。私は日の出前からセスナに乗り込み、銃創患者を活動地である首都ジュバの病院へ搬送しました。この日も病院はいつも通り忙しく、私も患者の処置に合流し病棟内を走り回っていました。辺りが薄暗くなり始めた頃、突然「パン、パパパパン」と乾いた銃声が響き渡りました。周囲が緊張と静寂に包まれた次の瞬間、全員がその場に身を伏せ、すべての業務を中断せざるを得ないことに。その後戦闘は激化。ICRCと南スーダン赤十字社は、ジュバにいるスタッフやボランティアの安全確保を第一に、戦況をみながら、傷病者の救援や遺体の搬送・管理、一時避難している人々への支援など、喫緊の人道ニーズへの対応を優先しました。
 

私たちの活動が一時的に制限されたことで多くの人が医療サービスにたどり着けず、医療者として日本では経験することのないとてもつらい局面でした。そんな私を救ってくれたのは現地の子どもたちです。紛争の続く厳しい環境の中でも、いつも輝いており、本当に素敵な表情を見せてくれます。彼らの笑顔を見ると、生後3週間で日本に置いてきた娘の姿が浮かんできます。そのたびに現地での任務を全うし、必ず生きて帰ろうと強く誓うのです。
 

世界中の子どもたちの明るい未来のため、今もこれからも人道支援活動に力を尽くしたいと思います。

(武蔵野赤十字病院より派遣)