かけがえのない普段の「当たり前」

ICRC パレスチナ・ガザ地区代表部 保護活動担当 片岡 昌子

7月号_パレスチナ_ガザ_ICRC 片岡昌子.JPG

現在私のいるガザは、占領下のさまざまな苦難を抱えています。例えば「また明日ね」という挨拶には、「神さまの思し召しなら」という言葉が返ってきます。明日会えるかどうかは神のみぞ知る。幾度も戦争に巻き込まれ、日常が突然壊される体験を繰り返してきた人びとにとって、今日と同じ明日は当然のことではありません。

こうした人びとを通じて気づかされるのは、私たちの思っている「当たり前」が、決して当たり前ではないということです。水や電気、食料に困らない生活、安心して住める住宅、学校での勉強、身近な病院、自由に旅行できること、そして家族や友達に会えること。そのすべてが、かけがえのないことなんだと痛感させられます。

赤十字国際委員会(ICRC)の活動は、経験豊かなパレスチナ人現地スタッフに支えられています。常に誰よりも最前線で活動する彼らは、多くのことを教えてくれるすばらしい先生です。自らも紛争被害者でありながら、赤十字の理念を信じ、忍耐強く、真摯に仕事に取り組む彼らの姿から私はあきらめない強い心を学びました。彼らとの出会いは人生の宝物です。

ガザでのICRCによる人道支援は、そこで生活する人びとの声を聞くことから始まります。毎日、現地スタッフとともに車を走らせ、畑で農作業をする人や羊飼い、漁師、若者、パレスチナ赤新月社のボランティアら、いろいろな人に会いに出かけます。日赤の支部に勤務していたころ、赤十字の活動が地域のボランティアの皆さんや学校の先生、寄付を寄せてくださる市民の方がた、いろいろな人たちに支えられていることを学びましたが、ガザでの活動も同じ。地域の人びととの信頼関係が私たち赤十字の礎です。グローバルな視点を持ちつつ、活動は地域密着。そこが赤十字の魅力なんだと感じています。