平成27年8月 赤十字を代表して第25回国連軍縮会議に出席

「赤十字・赤新月は団結します。われわれは一体となって、核兵器は人道的に耐えがたい苦痛を与え、われわれ一人ひとりの命を脅かすものだと訴えます」近衞忠煇国際赤十字・赤新月社連盟会長(日本赤十字社社長)は27日、広島で開催されている第25回国連軍縮会議でのスピーチでこのように切り出し、「核兵器はひとたび爆発するとすべてを破壊してしまい、われわれはなすすべがありません」と核兵器の威力が、被爆者だけでなく、被爆者を救助している人びと、そしてそれを支援する国際社会の能力をも超えてしまうこと、そして核兵器使用の非人道性から核兵器廃絶を訴えました。

日本赤十字社(以下、日赤)の広島赤十字・原爆病院では1956年以降、長崎原爆病院では1969年から外来・入院を合わせて延べ500万人以上の被爆者を治療。原爆投下から約70年が経った昨年1年間だけで、1万人以上の被爆者が治療を受けています。原爆投下は一瞬の出来事ですが、被爆者の苦しみはその後、何世代にもわたり続いています。

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近衞会長(写真左)と朝長日赤長崎原爆病院名誉院長(同右)

軍縮会議に参加している朝長万左男(ともながまさお)日赤長崎原爆病院名誉院長は、自身も2歳で被爆しており「原爆投下によって起きたことを次世代に伝えなければ。私も被爆者としてできることをやりたい」と語りました。原爆投下による影響をもっと世界の人びとに知ってほしいという思いは参加者に共通しています。

ペリー元米国国防長官は開会にあたり「核の脅威を知らない人たちをぜひ広島へ呼ぼう」と呼び掛け、「核兵器保有国は、核兵器は絶対使用しないと言っているがそれは自己満足で、このように考えることはとても危険だ」と警鐘を鳴らしました。

会議では来年5月に日本で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席する核兵器保有国の首脳を、広島へ呼ぶ提案も相次ぎました。

今回の軍縮会議は、今年5月の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が核軍縮への具体的な前進を見せずに終わり、核廃絶に向けた運動は下り坂を迎えるのではないかという懸念が少なくない中で開催されました。しかし、会議を通じ、現状打開のために改めて核兵器の持つ非人道性に焦点を当て、市民社会が連携しようという声がより鮮明になりました。

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スピーチを行う近衞会長(写真左)。隣は、スイス外務省
核軍縮・不拡散担当タスクフォース安全保障政策長
ベンノ・ラグナー氏

これは赤十字のアプローチと同じです。赤十字は、1946年に核兵器とジュネーブ条約の関連を取り上げ、その後何回にもわたって連盟総会などの会議で核兵器の禁止や廃絶を決議。最も直近では、2013年に核兵器廃絶に向けての赤十字の行動計画を含む決議を採択しています。

国際社会に向けては、2010年に、近衞会長が赤十字・赤新月運動を代表して広島でのノーベル平和賞受賞者世界サミットにて演説、その後も2013 年オスロ(ノルウェー)、2014年メキシコ、そしてオーストリアで開催された『核兵器の人道的影響に関する国際会議』にも積極的に参加してきました。そして、広島軍縮会議では、これまで以上に非人道性の観点から核兵器廃絶を呼び掛けています。

「国際赤十字・赤新月社連盟の会長として、赤十字・赤新月運動を代表し、被爆地である広島・長崎を訪れるのは今年8月だけで3回です。そのたびに189社の赤十字・赤新月のネットワークを強みに、市民社会から核兵器廃絶の声を高めていきたいとの思いが強くなる」と近衞会長はパネリストとして議論に加わった感想を述べました。今年12月には赤十字・赤新月運動の一連の会議が行われます。赤十字・赤新月運動代表者会議では、2013年に議決した『核兵器廃絶に向けての歩み』の履行計画の進捗状況が報告されることになっています。