平成25年11月 第5回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ開催あいさつ

 今回、「核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」が5回目を迎えられ、このゆかりある地で再び開催されますことを心よりお喜び申し上げます。

 2015年に開催される、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議に向けた「核兵器の非人道性」というこの集会のテーマは、2011年に世界中の赤十字が一堂に会した国際会議で採択した「核兵器廃絶への歩み」の決議が目指すところと軌を一にしております。この赤十字の決議は、①核兵器の使用が国際人道法の定める理念と両立しないこと、②核兵器が使用された場合、赤十字を含めて、その人道的結果に十分に対応できる能力が世界のどこにも存在しないこと、という二つの理由から、国際法のいかなる解釈があろうとも、核兵器は二度と使用されるべきではないことを訴え、その廃絶に向けて行動していく決意を明らかにしたものです。

 昨年8月9日、長崎市の「平和宣言」にも赤十字の決議への言及がありました。その非人道性から、核兵器の不使用や廃絶を訴える世界の動きは、昨年から今年にかけて世界で大きなうねりとなりつつあります。昨年5月のNPT再検討会議準備委員会では、核兵器の非人道的側面についての共同声明に対して16カ国の政府の賛同がありました。昨年10月の国連総会第一委員会では、同様の共同声明に対して、34カ国が賛同し、今年5月のNPT再検討会議準備委員会では、その数は80カ国になり、先月10月下旬の国連総会第一委員会ではさらに125カ国にまで広がりました。

 また、これまで米国の「核抑止力」に頼る自国の安全保障政策と一致しないとの理由から署名してこなかった日本も、先月の国連総会第一委員会において、核兵器の非人道性を懸念し、「いかなる状況下でも核兵器が二度と使用されないことが人類生存の利益」だとする声明に初めて署名することを決定しました。このことは、被爆地の長崎や広島の方々、日本国内で核兵器廃絶に取り組んでこられた方々にとっては大変喜ばしいニュースであり、今後の日本における核兵器廃絶に向けた運動に勢いを与えてくれる重要な日本政府の方針転換であると信じております。

 今年5月、こうしたうねりをさらに大きなものにするため、この問題に関心の高い24カ国の赤十字・赤新月社が広島に集い、平和記念資料館を訪れ、被爆者の証言を直接聞き、赤十字の主張の妥当性を再確認しました。そこでは、各国の赤十字社・赤新月社がどう情報を共有し、いかに国内での啓発活動を行っていくかを示す行動計画が協議されました。赤十字は、今月オーストラリアのシドニーで開催される赤十字の国際会議において、この行動計画の推進を含めた新たな決議を採択する予定です。

 「人道」を掲げる赤十字は、核兵器が未だに多数存在し、保有国が増える傾向にある現実に深刻な危機感を抱いています。そうした危機感を少しでも多くの人々と共有し、世論を喚起し、まずは各国政府に核兵器の拡散と使用の禁止を促し、そして最終的には人類の共通のゴールである「核兵器のない世界」の実現に向かって歩んでいく所存です。

 最後に、これまで「地球市民集会ナガサキ」が積み重ねてこられたご努力に深い敬意を表し、核兵器廃絶という大きな目標に向かって志を同じくする皆さまと今後さらに連携を強めていけることを念願し、ご挨拶とさせていただきます。この集会のご成功を心より祈念しております。

日本赤十字社 社長 近衞忠煇