平成24年4月 中東・北アフリカ3カ国を歴訪

 「リビア・チュニジアで赤十字運動の各組織が連携して両国赤新月社の活動を支援している様子を見ることができ、とても励まされた」――国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の近衞忠煇会長が4月20日から28日まで中東・北アフリカの3カ国を歴訪し、政府要人らと会談。赤十字社と赤新月社との連携強化や、各国赤新月社の法的基盤強化などを要請するとともに、それぞれの国での人道支援の現場を視察しました。

チュニジア赤新月社の研修センターで。「混乱の中でも中立、公平、独立の原則を守り抜いた活動は素晴らしい」とボランティアを励ます近衞会長

 アラブ首長国連邦(UAE)は近年、活発な国際協力を推し進めていて、一人当たりの政府開発援助(ODA)額が中東諸国の中で初めて世界のトップ10に入ったことで知られています。IFRCの理事を務める同国赤新月社も、イスラム圏を中心に活発な国際救援を展開しています。

UAE赤新月社名誉総裁のハムダン王子と会談した近衞会長は、同国赤新月社がIFRCの中でより大きな役割を発揮することへの期待を表明。

 さらに「赤十字と赤新月との間での連携をより深めていくためのリーダーシップを発揮してほしい」と要請しました。これに対して、王子はIFRCの人道支援活動へのより強力な支援を約束しました。

赤新月の法的基盤強化を

 北アフリカのリビアとチュニジアは、一昨年から昨年にかけての市民革命「アラブの春」により長期独裁政権が崩壊。新しい政権による国づくりが進められています。

 リビアのアブドゥルラヒム・アル・キーブ首相との会談で近衞会長は、内戦に陥った際に同国赤新月社が取り組んだ救護活動を高く評価。そのうえで「赤新月社法や赤十字・赤新月マークの尊重のための標章法の整備をしてほしい」と要請しました。

 これに対して首相は法整備について賛意を示すとともに、「内戦で精神的にも痛手を負った市民の間で『こころのケア』のニーズが高い」として、リビア赤新月社およびIFRCに対してケアにつながる情報の提供を依頼しました。

 会談を踏まえて近衞会長は「リビアにおいて赤新月社の法律を整備し、赤十字の7原則を国全体で尊重していくことは、いかなる状況下でも赤新月社が政府の人道分野における補助機関としての役割を適切に発揮していくために重要」と同国訪問の成果を強調しました。

IFRCとの連携強化を提起

 チュニジアではモンセフ・マルズーキ大統領らと会談しました。

 近衞会長は、リビア内戦の難民救援にチュニジア赤新月社が取り組んだことに感謝の意を表明する一方、同国政府とIFRCとの間の地位協定が締結されるよう提起。「地位協定を結ぶことにより、例えば災害時における緊急救援物資の通関が容易になるなど、人道支援活動がより充実することを期待したい」と語りました。

 保健大臣との会談では、救急法や災害対応の分野で同国赤新月社と保健省が協力関係を深めていくことで合意しました。