平成22年9月 パキスタン洪水被災地訪問

 平成22年7月下旬、パキスタン北西部で続いた豪雨は大規模な洪水を引き起こしました。国民の1割にあたる2000万人近い人々が被災し、1600人を超える人々の命が奪われ、国土の5分の1が被害を受けました。

 パキスタン建国史上最悪ともいわれるこの災害に対し、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)の調整のもと、パキスタン赤新月社と日本を含む37カ国の赤十字社・赤新月社が救援活動を開始しました。

ボランティアとともに救援物資を配付する近衛会長

 近衞会長は9月30日、最もひどい被害を受けた地域の一つである北西部チャルサダに到着しました。

 「今回の被害がいかに甚大で複雑な問題をもたらしているかがわかりました。泥土の除去が進まないかぎり、人々の帰還は始まらず、生計を立てる農業も再開できません。政府高官は、食料不足が社会不安を招くことを心配していました。連盟は作物の種や農業器具の配布を予定していますが、とにかく泥土の除去が急務です。被災者に必要なのは水・食料・医療の提供といった単純なものだけでなく、長期的な支援なのです」

 近衞会長はまた大統領官邸を訪れ、ザルダリ大統領と会談しました。ザルダリ大統領は、発災直後から献身的に活動を続ける地元パキスタン赤新月社と、世界中から寄せられる支援に対する謝意を述べられました。近衞会長からは、赤十字を含む援助機関がパキスタン国内でスムーズに活動を続けられるよう、政府の理解と全面的協力を求めました。

 今回のような大規模な災害が発生すると、世界中からさまざまな団体が支援に駆けつけます。しかし、それを受け入れる国の事情・制度・法律などが活動の障壁になることも少なくありません。そのため赤十字では、「国際的な災害救援および初期復興支援にかかる国内における準備および規則のためのガイドライン(IDRL)」に基づいて国内法を整備するよう、各国の政府に呼びかけています。政府要人や政策決定者と直接対面し、赤十字への理解や協力を求めるこうした人道外交は、連盟会長の重要な任務のひとつです。